読書記録『教室を動かす言葉のチカラ』③ 著:渡辺道治 発:学陽書房

part3「なぜ伝えるのか」

この第3章では、「なぜ伝えるのか」という目的と、学級通信の型について紹介されている。

なぜ伝えるのか

この章では、「何で伝えるのか」という方法や手段ではなく、「何を伝えるか」という中身の部分にふれていく。中身にこだわるからこそ、それが一番伝える方法や手段は何だろうという思考のスイッチが入る。そして、「何を伝えるか」という内容や「なぜ伝えるか」という方法以上に大切なことが、「なぜ伝えるか」という目的である。「何となくよいもの」として多くの人が認識していることによって、取り組みが形骸化したり、目的がよくわからなくなって続けられたりしている活動は山ほどある。今一度その「目的を確定」していくことで、さらに内容や方法の質が高まっていく。

渡辺先生は、学級通信を出す意味として4つを紹介している。

  1. 子どもたちに肯定的なフィードバックが届くチャンスが増える。
  2. 保護者との強力な連携体制をつくることができる。
  3. 教師の力量形成を目的とした実践記録として活用できる。
  4. 子どもたちを見る「目」が鍛えられ、文章力が高まる。

私としては、1番の肯定的なフィードバックを届けるチャンスが増えることを目的としている。そうしていると自然に、保護者との連携ができてきたり、自分自身の目や文章力を鍛えることができたりする。

何を書くのか

渡辺先生は、学級通信の型として5つを紹介している。自分なりの「型」を体得することで、安定感や速度、質の向上に大きく貢献してくれるという。また、自分の過去に書いた学級通信を型ごとに分類してみることも渡辺先生はおすすめしている。自分の得意不得意が見えてくるので、そのうえで他のジャンルに挑戦したり組み合わせたりすることで、よりオリジナルティを出していくことができるそうだ。

  1. 授業の様子を伝える
  2. 授業以外の子どもの様子を伝える
  3. 教師の思いを伝える
  4. 子どもたちの作品を紹介する
  5. 保護者が参加する

型1 授業の様子を伝える

授業は毎日行っており、学級通信の書く内容の宝の宝庫であると渡辺先生はおっしゃっている。事実、私が出している学級通信を振り返ったところその多くがこの「授業の様子を伝える」内容であった。そのコツとして、「描写的に書くこと」があげられている。つまり、「その場面の様子が頭に思い浮かぶように書くこと」である。教師の活動で言えば「発問」「指示」「説明」、児童の活動で言えば「発言内容」「動き」「表情」「全体の雰囲気」などである。これらを描写することで、教師での授業風景が浮かんでくるような学級通信を書くことが重要であるという。

型2 授業以外の子どもたちの様子を伝える

授業時間と比べて、子どもたちの自然なやり取りが垣間見えたり、素の姿に近い様子が見られるのが特徴で、学習だけで切り取ることのできない、子どもたちの様々な活躍の場面を力強く描写するのに非常に適しているそうだ。私自身の学級通信を振り返ってみると、「給食の時間」「当番活動」「休み時間の価値付けしたい姿」などを取り上げていることがありました。

型3 教師の思いを伝える

情報は、得てして「何を伝えるか」よりも「誰が伝えるか」が重要である。だからこそ、「なぜそのように教えているのか」「どのような考えの根拠を持っているのか」という教師の考えの奥底をしれたり、プロとしての専門性に触れたりすることは、子どもだけでなく保護者の方々にとっての「安心感」や「信頼」を生み出すことにつながっていくと渡辺先生はおっしゃている。

渡辺先生は発行回数はそれほど多くないとおっしゃっているが、この「教師の思いを伝える」通信は非常に大切だと私は考える。学級での活動の「趣意説明」が保護者にうまく伝わらずに不満や不安がたまってしまうことが私にはあるからだ。教師の思いを一方的に投げるのではなく、保護者の気持ちにチューニングを合わせながら、学級活動の趣意説明をしていくことで信頼をより築いていけると思う。

型4 子どもたちの作品を紹介する

この作品紹介型の大きなメリットとして、「公平感」を渡辺先生はあげている。どうしても普段の学級通信では児童の登場にばらつきがでるなかで、児童の作品の写真等を利用することで、容易に全員参加を可能とすることができる。

私の学級通信でも年に1,2回ほど、この作品紹介型の通信を出している。例えば、図工や家庭科、書写などの作品。調理実習や発表などの活動の様子。一つ渡辺先生と違うのは、私は一人一枚、その子自身の写真のみを貼って出すときがある。メリットとしては、その子だけの特別感が出ることと、他の子と作品などを比べられないことである。全員の作品を載せることで上手、下手が一覧で見えるようになってしまう。子ども一人一人の姿にスポットを当てたいときは、一人一枚にしている。ただし、デメリットとしては、手間がかかることと、保護者が他の作品を見られないことはあげられる。

型5 保護者が参加する

渡辺先生は、教師が編集し教師が発信する一方向型の通信だけでなく、紙面上で双方向のやりとりができる参加型の通信を提案している。参加型で多くの力が結集できれば、学びの可能性は無限に広がっていき、一つ一つの参加体験や協力体験を経て、学校と保護者との間に豊かなつながりや重なりが生まれてくるという。

詳しくは、渡辺先生のご著書の『BBQ型学級経営』にて紹介されている。https://www.toyokan.co.jp/products/4736?srsltid=AfmBOoqt7UQ-wI7UsuWl_mIobhMzwd9S5ufwM2hhM24PDukINWTYdPxy&variant=44731521761513 https://amzn.asia/d/8vYYpQH

 

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