2024年の1月から5月まで、全5回にわたって名古屋での対面とVoicyにて行われた渡辺道治先生の話し方講座。その講座を、実際の学級通信やワークショップを交えながらまとめた1冊。
はじめに
「それぞれの言葉は、相手に届くときと届かない時があります。届かないばかりでなく、右から左へと受け流されてしまったり、思わぬ反発を生んでしまうことすらあります。奥底にある「思い」がどれだけ崇高で美しくとも、それを「言葉」に変換した際に、これだけの違いが生まれるのです。」という、頭を強く打たれるような一文が私の心に残っている。教育に携わる者であれば、誰しもが経験するかもしれない。それでもなお、相手に言葉を届けるために、言葉をどのように磨き、どのように届けたらよいのか、このあと5章にわたって紹介される。
第1章 教師に大切な言葉のチカラ
言葉は話し言葉と書き言葉の大きく2つに分けられる。人によって得意不得意はちがうが、あなたの言葉はどちらの方がより相手に伝わりやすいだろうか。
私は話し方講座を受ける前までは「書き言葉」を選んでいた。何度も読み返して、自分のペースでつづれる方が自分に合っていると思ったからだ。渡辺先生によると、話すことには注意点が多い。なぜなら、有名なメラビアンの法則にあるように言葉以外にも①声②動作③見た目④環境などの「ノンバーバルコミュニケーション」といわれる様々な要素が組み合わさっているからである。ただ、裏を返せばそれだけ話し言葉は、意識して使える武器が多いと私は感じた。
話すことに対する苦手意識がなぜ生まれるのかについては、トヨタから生まれた問題解決の手法の1つ「なぜなぜ分析」を渡辺先生は紹介している。その分析の結果、多くの人はトレーニングや成功体験の不足が原因であるという結論になるそうだ。
渡辺先生に寄せられる多くの質問や相談によると、全国の教員や保護者で、一生懸命相手を想って伝え続けている言葉が、届かなかったり響かなかったりしていることに心を痛めている人は多い。私もその一人だ。ここにもトレーニングや成功体験の不足が関係していると渡辺先生は指摘している。練習をしていないから伝え方がわからず、相手に伝わったという体験が少ないから自信がもてず、自信がないからさらに言葉が伝わりづらくなるという悪循環になっている。だからこそ、教育に携わる者は言葉の力を磨き高めていくことが必須であるという。
話すことのトレーニングとして、渡辺先生は「まずは、書くことです」と述べている。メラビアンの法則によると、言語情報が与える影響の割合は7%と小さいが、「何を伝えるか」ということの中核を成す極めて重要な部分である。その言語情報の力を磨くために、書くことが最もシンプルでもっとも効果の高いトレーニングなのだそうだ。教員で書くと言えば、学級通信を思いつく人が多いだろう。だが、ただ書けばいいのではない。自らにルールを課す「制約」とそのルールを守ると固く誓う「誓約」の二つが大切であり、とくに話す力につなげていくには、「時間の制約」が最も重要なのだそうだ。
渡辺先生は、現役の教員時代に「勤務時間内」という時間の制約の中で毎日学級通信を発行していたそうだ。最初は1枚書くのにも苦労したが、練習を重ねるうちに1時間ほどの隙間時間で4~5枚書けるほどになったそうである。さらに、児童の様子を色々な表現や角度で言葉にすることができるという話し言葉の変化も現れたという。実際に2枚の学級通信が紹介されているが、例え話なども盛り込んだこのクオリティの通信を1時間で何枚も書けるのかと、気が遠くなりそうである。しかし、時間の制約を繰り返しつけてきた渡辺先生だからこそ、いまの話し方があるのだろうと感じた。
学級通信と一緒に演習が一つ載っているのだが、私は「これから」、渡辺先生は「ここから」という言葉を選んでいた。似ているようで、伝わる意味は異なるように感じた。
のーまんさんの書くチカラの能力の高さを感じさせる読書記録ですね!
のーまんさんらしさがあるのが、魅力だと感じました!
ながたさん、コメントありがとうございます!このブログにコメントをくださった方第一号です!!ながたさんの温かいフィードバック。私含めもらった人たちは、とても嬉しくなると思います。私はなかなか苦手な部分なので、これからもながたさんの温かいお声がけから学ばせていただきます!